五十嵐真由子、スナックに人生を変えられた夜 おにぎりに涙した原点

Mayuko Igarashi
全国1400店以上のスナックを訪ね歩き、その魅力を発信してきた五十嵐真由子。活動の原点は、仕事で訪れた岐阜県・下呂温泉での思いがけない一夜だった。取材先のホテルの社長と話すことに気が重く、地元のタクシー運転手に相談したところ、「スナックに行かなきゃ」と勧められたという。気乗りしないまま、人生で初めて店の扉を開いた。 店ではママが待っており、町会やPTAなど地域の人たちを紹介してくれた。五十嵐によると、常連客たちは翌日の商談相手についても助言してくれ、気づけば深夜まで話が弾んでいた。翌朝、ホテルへ向かう彼女を見送ったママは、手づくりのおにぎりを渡した。「私の力こぶ」「常連さんたちの力こぶ」、そして「あなた自身の力こぶ」を握ったものだと説明されたという。五十嵐は、その言葉に涙がこぼれたと振り返る。 その後、再び訪ねようとした店が閉店していたことも、スナック文化を広めたいと思うきっかけになった。ママたちに話を聞くと、当時は男性客が多く、店側も積極的に外へ魅力を伝えていなかったという。女性も楽しめる場所として知ってもらおうと、2017年に「スナ女®」という言葉を作り、商標登録した。 新型コロナ禍には、営業が難しくなった全国のママたちから相談が相次いだ。常連客と話せる場を望む声を受け、五十嵐はオンラインスナックを開設。店に入りづらい初心者向けのツアーもサービスにした。現在は酒類や菓子のメーカー、自治体、交通機関などとも連携している。彼女は、スナックのママを人と人、地域をつなぐ存在と捉え、AI時代だからこそ心の通う交流の価値が増すと語っている。
情報源 ↗